樋口副所長の利用者様への思い

<もみの木の家>で副所長をしている樋口です。歳月の流れるのは早いもので、私が                   

<もみの木の家>で迎える10回目の秋です。この原稿を書くにあたり改めて<もみの木の家>に勤務初日を調べてみました。H22.1.21 付けで<もみの木の家>入社とありました。勤務初日の事は今でも鮮明に私の心に残っています。

当時所長の激務の1日です。『利用者様の一人が体調が悪化し食事も摂る事ができず帰宅時にスタッフからご利用様の介護環境について同居ではあるが、ご家族がパニックになり易く介護が難しい状況である事の説明をうけました。数名のスタッフからは「今日の状態で明日までもつのか心配」との声。取敢えずご家族の勤務先に連絡し「できれば帰宅できないでしょうか。無理であれば帰宅時間を教えて下さい。」とお願いされた由。所長が送迎スタッフに、お部屋に寝かせたらバイタルチェックをして報告するように指示、1時間後に副所長と二人でご自宅訪問、バイタルチェックをするも血圧の数値が高く良くない状態。ケアマネに連絡と同時にかかりつけの病院に連絡を入れると「夜間の救急外来に連れてきて下さい。」との指示。そうしている間にご家族が帰宅され、これまでの経緯を報告。すぐに事業所の車にて病院に搬送。ご家族はパニック気味で結局、治療・医師からの説明・病院のケースワーカー様からのお話の全てに付きそう事に。その日は取敢えず自宅に戻り改めて主治医の診察を受けて下さいとの事だったので、点滴が終わるのを待ってご利用様をご自宅に搬送し、お布団に寝ていただき事業所に戻られた由。家に帰宅したのは23時すぎだった。』とお聞きしました。

 今迄の仕事は情報処理業界で試験・開発。生死の現場に直面する事はありませんでした。そんな私にとって初日の長い一日は強烈な歓迎であり、正直「とんでもない職場にきてしまったのかも・・」と思う反面、気を引き締めて取り組まないとダメになると腹をくくるきっかけになりました。

 あれから12年、あっという間だったように感じます。泣いて笑って「これでいいのだろうか。」と立ち止まったり、自問自答と試行錯誤の連続でスタッフと話し合い・・でも結局

答えを教えてくれたのはご利用者様達だったように思います。

 <もみの木の家>をご利用される方々の認知症の状況や病状は年々厳しさを増しているように感じます。問い合わせを頂く内容も同様に厳しい状態にあります。そんな状況だからこそご利用者様には笑顔で過ごして頂きたいと思うのです。スタッフからは「kさん(要介護4の女性)の笑顔に癒されるよね。」という言葉がよく聞かれます。本当にkさんの笑顔は素敵です。kさんの存在そのものに私達スタッフは癒されます。

 私は一日一回でもいいから全てのご利用者様から心からの笑顔をみたいと思います。心から湧き出てくる笑顔。今この手記を読んで頂いている皆様も毎日心からの笑顔できているか考えてみて下さい。心からの笑顔は自分も周りの人達をも幸せな気分にさせる不思議な魔法なのではないでしょうか。

 最後になってしまいましたが、コロナに負けずに皆様の幸多き年でありますように。

 

 今後も<もみの木の家>を宜しくお願いします。